シャコ
写真はいかにも美味しそうな握り寿司です。ネタはシャコ。
写真1 シャコの握り(「うまい鮨勘」 より引用)
おすし屋さんで「シャコ ネタ」を見ることが最近なくなりました。
シャコのなかでも小柴港(横浜)で水揚げされた「小柴のシャコ」(写真2:SUSHI TIMES より引用)は甘味の強さや品質の良さですし職人の間で高く評価されていました。ところが、そのシャコの水揚げ量は2005年に激減しました(図1)。
写真2 水揚げされたシャコ | 図1 シャコ生産量の推移 1枚のトレイには10匹が詰められています。 |
シャコの激減は海中の酸素量が少ない「貧酸素水塊」の形成によると言われています。環境の変化に対して生きものがいかに脆弱であるかを教えてくれます。
偶然ですが、私は2002年から2005年にかけて横浜市立大学の学長を務めました。小柴港のわきを通って、車で横浜市庁舎に出向くことがしばしばありました。
小柴港で水揚げされたシャコは新鮮なうちに漁港でゆで上げられます。エビやカニなどの甲殻類をゆでると香ばしい匂いが釜から辺りに広がります。シャコもその例外ではありません。
小柴港のわきを通るたびにいい香りが車の窓から入ってきました。ところがです、2005年を境にその香りがばったりなくなりました。シャコの水揚げ量激減と関係していることは後で知り驚きました。漁師をはじめシャコの加工に携わっている人たちは仕事を失い戸惑うことになったと聞きました。
2015年の国連サミットでは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、略してSDGs)が設定されました。達成すべき17の目標(ゴール)が掲げられました。目標は社会面、経済面、環境面など広い範囲にわたります。環境面では気候変動や環境保護が取り上げられていますが、その10年も前にシャコは危険信号を送っていたことになります。
話は変わりますが、東急目黒線の車庫(シャコ)が奥沢にあります。目医者からの帰り、車庫に入っていた電車が目に留まりました(写真3)。鮮やかに彩られた車両、そのドアーの上にはLet’s get together SDGs TRAIN と横文字で書きこまれています。大企業が時代の流れに迎合しているかのようにも受けとれ、シャコに申し訳ない気持ちになりました。
追記
目黒線の SDGs 車両に出会ったのは望月眼科からの帰り道でした。私は緑内障予備軍なので定期的に検診を受けています。
院内にはアノラ ・スペンスの版画が飾られています。私の気に入った2枚を掲げます。このようなユウモラスな絵を見ていると楽な気持ちで先生の診察を受けることができます。
版画家スペンスについては先生によるまとめが紹介されています。
医院の検査機器も充実していて、先生の気配りばかりでなく診断の確かさも自ずと伝わってきます。