師走に入ると桜の葉は赤や黄色に染まり落ち葉となります。北風により吹き寄せられやがて朽ちていきます(写真1)カタバミの上に軟着陸する幸せものもあります(写真2)。ベンチの上で一休みという呑気者もいます(写真3)。
すっかり葉を落とした枝には花芽と葉芽を付け来春に備えています(写真4)。先の尖った方が葉芽、丸みを帯びているのが花芽です。
桜の黄葉と紅葉についてはキャノン サイエンスラボ・キッズに公開されている分かりやすい図解を引用します。
本論に入る前に葉がなぜ緑に見えるのかその仕組みを述べます。光合成に欠かせないのが色素クロロフィルで a、bの2種類があります。いずれも青と赤色の光を吸収します(図1)。
光合成に関与しない色の光(主として緑)は反射されて、目に入ります(図2)。緑色の光は葉にとっていわばゴミのような存在です。人はこのゴミを見て、美しいとか、心が休まるとか感じるのですから不思議です。
図1 クロロフィルの吸収スペクトル | 図2 葉が緑に見える仕組み |
図3 コルク質の離層
冬が近づくと落葉樹は葉のつけ根が離層(りそう)というコルク質の組織でふさがれ、養分の補給が断たれて(図3の上)、クロロフィルは分解されますが、植物にとって貴重な成分である窒素やリンは枝(図では茎)に移動させます(図3の下)。リサイクルです。
養分の補給を断たれたクロロフィルは分解し、緑色の反射能を失います。その結果、葉が本来持っていた色素、カロテノイド(黄)やアントシアニン(赤)により色づきます(図4)。
図4 黄葉の仕組み(上図)と紅葉の仕組み(下図)
ケヤキの場合は、葉がもともと持っていたタンニンが葉の老化とともに酸化されこげ茶色(褐色)を帯びます。褐葉と呼ばれています(写真5)。
追記
渋柿の渋みは水溶性のタンニンによります。渋柿の皮をむき、干し柿にすると水分が抜けペクチンと結合してタンニンは不溶性となります。不溶性になれば舌は渋みとして感じ取ることができません。
タンニンは広く植物に含まれています。身近な例としてはお茶の渋みがあります。
🍁今月のカバーフォトについて🍁
今月の写真はブーゲンビリアです。熱帯の花かと思っていましたが、寒さにも負けず近所で咲いているところをパチリと撮りました。(Blog Auther)